ある生徒様にお手持ちのノートパソコンについて悩みがあると相談されました。
そこで、教室に持ってきてもらいました。
H.30 3/30購入と書かれており、約1年前に購入されたものだとわかります。
エプソン製でWindows10搭載、15.6型サイズで汚れもなく真新しい。ごく普通の見た目です。
さて、起動してみましょう。
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・・・・長い!?
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お、立ち上がった。
ちょっと待ってから、スタートメニューをクリック・・・
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長いよ!
スタートメニューが出せない。
あまりにも遅い。
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押してから何十秒も待つとレスポンスがある感じです。
ウィンドウを一つ開きたいだけなのですが...。
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うーん、比較的新しいパソコンなのに。
どれくらい負荷があるかタスクマネージャから見てみるかな。
タスクバーを右クリックしてと・・・。
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・・・・・・・・・・・右クリックしたよね!? 自分の操作が不安になるレベルです。
さて、四苦八苦しながらスペックを見たところ、CPUはi5-6200U、メモリ2GB、ハードディスクは320GBでした。
起動して5分以上は経つというのにハードディスクは100%フル稼働状態、メモリ使用率87%となっています。ほぼ全力運転です。
かろうじて操作を受け付けているという状態ですね。
パソコンの部品というのはよくCPU(作業者)、メモリ(机の上)、ハードディスク(引き出し)に例えられます。
作業に必要なものをメモリという机の上に出して、CPUという作業者がアレコレして、残しておくべき情報をハードディスクという引き出しに入れるというイメージですね。
今回の場合、引き出し(ハードディスク)は非常に出し入れに時間のかかる効率の悪いものでした。
さらに、机(メモリ)がすごく狭いのです。
すると、CPU(作業者)は一気に作業ができず、何かをしようとすると、使う見込みのあるデータであってもをいったん引き出しにしまって、必要に応じてまた出して・・・を繰り返します。
メモリが十分にあれば、引き出しにしまう作業が減るためパソコンは性能を発揮しやすくなります。
このパソコンを人間に例えると、「作業者をミカン箱に座らせて開けにくい引き出しを頻繁に使う作業をさせている」ようなものです。
なんともアンバランスですよね。
製造元エプソンのホームページを見ると、ハードディスクのアップグレードは参考例で18,100円、メモリ増設(4GB追加)は19,300円でした。
およそ4万円もかかります。これではあと数万円も足せばパソコンが買えてしまいます。
しかもこのパソコンは業務に使っているため、アップグレード依頼して発送すると、戻ってくるまで困ります。
私はパソコン整備士の資格もあり、この程度のパーツ交換とデータ環境引っ越しは容易です。
分解容易な構造であれば、私がパーツ交換しましょうかとご提案。
許可をいただいて、ネックとなっている部品を分解しつつチェック。
ハードディスクはHGST製の320GB、メモリはSKHynix製のPC4-2400 SO-DIMM。いずれもアクセスしやすい構造でした。
市販のパーツ実費(1万数千円)と工数に応じた作業費とをいただいて交換することとなりました。
内容はこちら。
ハードディスク HGST製HDD(Z5K500)320GB ➡ SanDisk製 SSD X600 512GB
メモリ SKHynix製 HMA425S6BJR6N 2GB ➡ Panram製 D4N2400PS-8G/T 8GB
赤丸印がハードディスクで青丸印がメモリです。最近は裏蓋を開けて簡単にアクセスできる構造のパソコンは少なくなっています。
交換用のSSDにハードディスク内のデータをクローン(全く同一のデータを移植)します。
SSDはハードディスクの何倍も速く読み書きできます。
メモリは2GBから一気に8GBです。
いまの状態のWindows10なら4GBあればおおむね足ります。しかし、Windows10はこれからもアップデートを繰り返していきます。
たいていのOSは登場時の必要メモリ量が、OSサポート切れのころには何倍かに増えています。
8GBあればハードウェアの寿命を迎えるまで最大限の性能を維持できることでしょう。
さて交換して、起動。
早い!10秒ほどでデスクトップ画面が出ます。キビキビとウィンドウが開きます。同じCPUとは思えません。
快適に動いてますが、なにやらSSDへのアクセスが頻繁にあります。
調べてみるとWindowsUpdateがやまほど滞留していました。
いままで、あまりにも余力がなくてこれらが未了のままに蓄積していってたのですね。
アップデートにはセキュリティ向上の内容もありますので、これはよくないです。
Yahooのページすら開くことができないくらいの状態でしたからどうしようもなかったのですが・・・。
さて、今回の例のようなパソコンはわりとよく見ます。
メモリ2GBというのはちょっと珍しいですが、メモリ4GBで低速ハードディスクというのが典型的なパターンです。
特にノートパソコンのハードディスクは小型低速なタイプが多くて性能の足かせになります。
安価なパソコンは何かを削って1,000円でも2,000円でも安くしていきます。
CPU、メモリ、ハードディスクのいずれか1つでもバランスを損ねた削り方をすると、その部品が製品寿命を決めてしまいます。
ほかの部品は十分な性能を持っているのに…、もったいないですよね。
安価なパソコンの多くは、製品寿命や作業中のロスを考えると、かなり割高なのでは…と思います。
もう少し費用をかけてお手頃価格の物はないのかというと・・・、ないわけではありません。
当教室では生徒様のパソコンの買い替え相談も受けつけております。
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